TOP > 自転車事故にかかる企業の法的責任
〜企業の法的責任〜
「通勤は、被用者が本来の業務に従事している場合と異なり、使用者が被用者に対して直接的な支配を及ぼすことが困難な場合が多いことから、被用者が通勤手段として自転車を利用し、通勤途中に交通事故を起こした場合の使用者責任については、当該自転車が日常的に被用者の業務に利用され、かつ、使用者もこれを容認、助長しておいたような特段の事情のない限り、これを認めるのは相当ではない。」とした裁判例があります。(広島高裁松江支部平成14年10月30日判決)
日本の不法行為制度では「過失」が存在することが必要であり、一般的に企業の管理下を離れて行われる自転車による通退勤上の事故は法的責任は生じないものと考えられます。
また、自転車は、免許制度もなく誰でも乗れる言わば市民の足となっている一方、自動車における自賠責保険のような強制保険制度もなく、自転車保険等の加入もまだまだ一般的とは言えない状況です。
こうした状況下、社会通念上、通勤途上の自転車事故についてまで、企業側に使用者責任を負わせるのは酷であって、この点からも企業側に責任は発生しないと解すべきと考えられています。
一方、業務で自転車を利用する場合、例えば事務社員が自転車で銀行に行く途中や、営業社員が自転車で顧客との商談に向かっている際に他人に衝突したような事故は、まさに業務中であり企業の管理下と言えます。
現在加入している保険で企業の責任をカバーできているかを確認してみてください。ご不明な場合はご相談ください。